日本は地震大国なので、どの県に住んでいても地震が起こり被害に遭う可能性があります。今から家を建てる場合は耐震性が気になりますよね。地震に強い家をつくるには、具体的にどのようなポイントを見ていけばいいのでしょうか。地震に強い木造住宅を建てるための5つのポイントを紹介したいと思います。
地震に強い木造住宅の5つのポイント
地震はものすごい力で私たちの生活を破壊していきます。住宅を引きちぎり、強化ガラスを割り、非構造部材である天井板やパネルが剥がれて落下するので凶器にも変えてしまうのです。地震から家族の身を守ってくれる、地震に強い木造住宅を建てたいですよね。そのためには、どのような事をポイントとして見ていけばいいのでしょうか。過去に起こった震災による木造住宅の被害を教訓にしながら考えていきましょう。
建物の重さ
過去の震災では、古い建物の倒壊率が高いです。その原因に壁量が不足していることが挙げられますが、現代的な建物に比べて建物の重量が非常に重いことも関係しています。
葺き土のある瓦屋根や土塗壁でできていると非常に重く、窓が多く壁が少ない場合は倒壊の被害が多くでています。土蔵の被害も多いです。土蔵は一見壁がたくさんあるように見えますが、土壁の厚さは10cm以上ある場合が多く、階高が高く、細長い形状なので、床面積あたりの重量が重くなってしまうのです。
地震のエネルギーは、建物の重量に比例して大きく働きます。建物の重量が重いほど地震によって大きく揺れることになるのです。
建物の重量を家の素材で比べると、鉄筋コンクリート造(RC造)が一番重く、その次に鉄骨造で、木造となります。木造住宅が重量としては一番軽いのです。
木造住宅で更に重量を軽くするためには、屋根材を軽いものにする、ピアノや書棚など重量のある物を2階におくと負担がかかってしまうので1階に置くなどして工夫するようにしましょう。
壁配置のバランス
過去の震災では、壁配置のバランスが悪い家は被害に遭っています。狭小間口の建物では、前面の玄関と採光窓により間口方向に壁がほとんど無くなってしまっており、地震で大変形をしてしまいました。1階が車庫や店舗になっている建物も壁量が不足したため、1階が押しつぶされてしまっています。入り組んだ不整形な建物も、入り組んだ部分に地震のエネルギーが集中して破壊されやすくなってしまうのです。
木造住宅では、建物に作用する水平方向からの力に耐えるために、筋かいや面材を用いて耐力壁をつくります。建築基準法に規定されている必要な壁の量を絶対に満たすようにしましょう。
柱・梁・土台の結合力
過去の震災では、土台のアンカーボルトが設置されていなかったため、土台が基礎の上に移動してきた住宅もあります。梁が地震の引張力によって引きちぎられて外れる、柱脚に金物が設置されていなかったので、耐力壁が転倒したことで柱が抜けて大変形したものもありました。
柱・梁・土台の各接合部の強度が弱いと、地震が作用する力で建物の骨組みがバラバラになってしまう危険性があるのです。耐力壁が動くと壁自体が転倒するような状態になり、柱が浮き上がろうとしてきます。柱が浮き上がってしまうと耐力壁の耐力も小さくなるので有効に働かなくなってしまうのです。
柱脚と土台を金物でしっかりと固定する、筋かいの端に金物を用いて補強する、アンカーボルトを用いて土台と基礎をしっかりと固定することが大切です。
適切な基礎
過去の震災では、基礎に亀裂が入る、割裂する被害がありました。石場建ての建物も地震で石を踏み外して倒壊する危険性があります。浴室廻りのコンクリート基礎のブロックは、地震の水平方向の力に抵抗できる仕様ではない簡単な施工によるものも多いので、被害が大きかったのです。
基礎の強度不足は、基礎にひび割れなどを起こし、上部の建物との結合力に影響を与えます。軟弱な地盤や液状化しやすい地盤に家を建てる場合は、それに応じた基礎構造にするとともに、普通の地盤の建物よりも壁量を増やして耐力壁を多くつくって頑丈にしましょう。
腐朽・蟻害対策
過去の震災では、水分による腐朽やしろありなどの被害によって強度が低下していたため、柱が折損する、外壁が脱落した家もありました。
腐朽や蟻害は、部材の耐力を低下させるとともに、地震の被害を拡大する原因になります。特にベランダや樋の受け金物がある雨水が入りやすい箇所、配管のある場所、結露の生じている箇所で腐朽や蟻害が起こりやすいのです。
水分による腐朽対策は、耐朽性の高い材料を使う、腐敗措置を行う、換気をするなどして防ぐようにしましょう。木材はしろありの被害を受けやすいので、蟻の種類に応じて対応した木材や土壌の防蟻処理をする、構造上に蟻の進入を阻止をするような対策が必要です。
まとめ
過去の震災の教訓から、地震に強い木造住宅を建てる5つのポイントについて紹介いたしました。とても大事なポイントになっていますので、家を建てる時には必ずチェックするようにしてください。