『耐震等級って何? 耐震等級1、耐震等級2、耐震等級3はどう違う?』
最近は日本各地で地震が起こっています。記憶に新しい2018年6月18日の大阪府北部の地震、遡ると東日本大震災や阪神大震災といった大規模な地震がありました。新潟も地震の被害を受けています。小千谷、長岡、柏崎などでたて続けに大きな地震があり、甚大な被害が出たのは記憶に新しいですよね。
家を建てるときには地震に耐えることができる耐震性についてもよく検討しなければなりません。耐震性については、具体的にどのような対策をしたらいいのでしょうか。何か基準になる物があれば分かりやすいですよね。耐震等級という言葉は聞いたことがありますか?耐震等級1や耐震等級2、耐震等級3があるのですが、この3つは何が違うのでしょうか。詳しく紹介いたします。
耐震等級ってなに?
住宅は地震や暴風、積雪などの様々な影響を受けます。これらの影響が大きくなると建物は損傷する、壊れることがあります。絶対に損傷したり壊れたりすることが無い家を建てることが理想ではありますが、地震の規模等によっては破壊力が異なるので、全く壊れない家というのは現実的ではありませんよね。
そこで、家を建てる時に目安になるのが耐震等級です。耐震等級は、地震に対して建物の構造躯体の倒壊や崩壊のしにくさを表しています。耐震等級は1~3の等級に分かれています。
耐震等級3が最高等級です。主に病院や学校では耐震等級2、警察署や消防署は耐震等級3で建てられています。
耐震等級
耐震等級1 | 建築基準法と同程度の建物。建築基準法の1.00倍の安全性がある |
耐震等級2 | 建築基準法の1.25倍の安全性がある |
耐震等級3 | 建築基準法の1.50倍の安全性がある |
上記の表で建築基準法という言葉がでてきました。建築基準法では、地震の時に建物に要求している性能があります。中規模地震と大規模地震によって要求される性能が異なりますので紹介いたします。
建築基準法が定める建物への要求性能
中規模地震
中規模地震 建物が耐用年数内に数度遭遇するであろう地震(数十年に一度発生する住宅の密集する都市で震度5強程度の地震)
使用上支障があるような損傷が生じないこと
大規模地震
建物が耐用年数内に1度程度遭遇するかもしれない極めて稀に発生する地震(数百年に一度発生する住宅の密集する都市で震度6強から震度7程度の地震)
建物が倒壊や崩壊せず、人命が保護されること
※建築基準法で想定される地震の揺れの強さは、東京を想定した場合になっています。
基本的には、現在の建築基準法に基づいて家を建てるならば地震が起っても建物が倒壊や崩壊する可能性は低いといえます。しかし、大規模地震のように震度7程度の地震がくると建物が損傷する可能性があります。建物が倒壊や崩壊を免れたとしても、屋根や内外装が落下する、軸組が変形する、基礎が割裂するなどの復旧が必要な被害があるかもしれません。
ですので、耐震等級2以上にしておくと、地震に対してより安心感や信頼感があるといえるのです。
耐震等級は施主が決める!
耐震等級は、家を建てる人に耐震性能を分かりやすくするために定められたものです。分譲住宅の場合は耐震等級が決まっている場合が多いのですが、注文住宅は家を建てる人が決めることができるのです。
耐震等級についてはよく分からないといって工務店や建築士にお任せにするのではなく、家を建てる打合せの段階で相談しておくのがベストだといえます。家の設計や間取りが決まった後から耐震等級について検討すると、思わぬところに柱や壁ができてしまい、こんなはずではなかったということにもなりかねないからです。
耐震等級1は建築基準法の耐震要求性能を満たしていますが、大地震が起きたらと考えると少し不安が残りますよね。耐震等級2や耐震等級3を検討する、「免震」や「制震」といった性能も含めて考えると安心した家を建てることができるでしょう。
ここで「耐震構造」「免震構造」「制震構造」の違いについて説明いたします。
耐震構造
耐震構造は、建物を頑丈につくることで地震の揺れを受け止めてくれるしくみです。日本の住宅はほとんど耐震構造でできています。耐震構造の家は、地震の揺れを減らすわけではないので、家の中にいると激しい揺れを感じることになります。
制震構造
制震構は、ダンパーと呼ばれる制震装置を建物の壁や柱に組み込みます。ダンパーが地震の揺れを吸収してくれるので、地震の力を20%~30%減らすことができるのです。建物のひび割れ等を防ぐことができるのです。
免震構造
免震構造は、建物の基礎にゴムなどでできた免震装置を設置します。地震の揺れを吸収することで、建物がゆっくりと揺れます。地震の力を40%~60%減らすことができるので、建物の損傷や家具の倒壊を防ぐことができるのです。
まとめ
日本は地震大国なので、家を建てる時には耐震性についても検討する必要があります。耐震性の目安になるのが耐震等級です。家を建てる最初の段階から耐震性についても打合せしておくようにしましょう。
耐震性を高めるためには、基礎や梁、屋根、柱、壁を強化する必要があります。そうなると間取りや予算が変わってくるのでじっくり考える必要があるのです。