家族の夢を形にしたマイホームを建てるのは楽しみですよね。
地震などの大きな災害が起こっても、耐えることができる頑丈な家にしたいものです。
では、家が頑丈かどうかは、どんなことから分かるのでしょうか?
なにか目安になるような数値はあるのでしょうか?
そこで、注目したいのが「構造計算」です。
耐震構造や構造計算について詳しくご紹介します。
耐震構造って何?
「耐震構造」とは、地震などで生じる水平方向の揺れの力に対して、十分に耐えられるように考えられて設計された建築物の構造のことをいいます。
建築物は、地震だけではなく、台風、豪雪といった厳しい自然環境の中でも常に建ち続けていなければなりません。
そのためには、適材適所にふさわしい材料を使い、建物全体のバランスを考えて、つくらなければならないのです。
そのためには構造計算が必要になってきます。
日本のマンションは、建築基準法に沿ってつくられている限り、耐震構造になっています。
戸建てはというと、一定の規模以上の建築物は、「構造計算」によって安全性を確認することが法律で決められています。
一定の規模に達していない住宅は、構造計算を義務づけられてはいないのです。
例えば、木造2階建て以下の住宅に関しては、構造計算はしなくてよいとされています。
しかし、多くの木造2階建ての住宅を調査してみると、耐震強度が不足していることが分かっているのです。
2016年の熊本地震では震度7の揺れが起き、たくさんの建築物が被害を受けました。
建築基準法の「新耐震基準」で作られた建築物であっても、多くの被害を受けたことは記憶に新しいところですね。
したがって、耐震構造を知るためには、構造計算が必要不可欠になってくると言えるのです。
構造計算とは?
「構造計算」とは、人の安全を守るために、建物にどのくらいの力が加わり、なおかつ衝撃に耐えられるのかを証明することです。
建築物の本質的な性能を耐震や耐久性の面から化学的に証明するための計算です。
家には「固定荷重」といって、家の部材や仕上げ材による自重があります。
それに加えてあらゆる角度から力がかかっているのです。
「積載荷重」は家の中の家具や人の重さのこと。
グランドピアノやウォーターベッドを置くのならば、とても重量があります。
また、「積雪荷重」は屋根に降り積もった雪の重さのことです。
建物にはこういった垂直方向にかかる力もありますが、地震や風などは水平方向に力がかかります。
地震の揺れは「地震荷重」と言われており、静止している家に対して地盤が水平方向に揺り動かされる力のことです。
風は「風荷重」と言われており、家の外壁や見付面積が大きくなるとより大きな力が作用することになります。
その他にも、地面の中では「水圧」や「土圧」がかかっているので、家は四方八方から目に見えない力がかかっているのです。
これらの力を上手に分散するように家を作るために、それぞれの重さが力としてどのように伝わるのか、その力に耐えることができるのかを構造計算によって確認し、証明しなくてはなりません。
建物の構造はどうなっているの?
構造というと何か難しそうな響きがありますが、身近な物で考えてみましょう。
折りたたみ傘や、最近あまり見かけなくなりましたが公衆電話ボックスなどで考えると分かりやすくなります。
- 傘=トラス構造
- 公衆電話ボックス=ラーメン構造
傘=トラス構造
折りたたみ傘は、強風にあおられると反対側に曲がってしまいます。
傘の骨が曲がったり折れたりしない限り、手で元の形に戻すことができますよね。
それは、傘の骨同士が自由に回転するピンでつながっており、その回転するピンが風圧を受け止め、分散して吸収してくれているからです。
傘を開くと、三角形の集合体で構成されています。
一見ひ弱そうに見える傘の構造ですが、実は「トラス構造」という形式で造られており、見た目以上に強い構造になっているのです。
公衆電話ボックス=ラーメン構造
公衆電話ボックスは、建築業界ではポピュラーな「ラーメン構造」でつくられています。
4本の柱が基礎となって地面に固定されています。扉を含む4枚のガラスが壁となり、その上に屋根がのっています。
柱と屋根は動かないように堅固につながっているのです。
「ラーメン構造」というと、真っ先に食べ物が思い浮かびますが、ドイツ語で「額縁」の意味からきています。
家づくりでは構造計算をしてもらったほうがいい?
構造計算は計算が煩雑で、計算ソフトも高価なものです。
建築家一人では構造計算を行うことが難しいため、「建築構造士」という外部に委託することもあります。
すると、設計料金が20万円位は増えてしまうことになります。大きな金額ですよね。
自分の建てる家が「簡易的な構造計算で大丈夫だろう」と言われていても、安全のためには構造計算してもらった方がいいといえます。
今後どんな大地震や大型台風、豪雪が降るかは、誰も予測できないからです。
まとめ
家は建っているだけで、あらゆる方向から圧力を受けています。
そのため、耐震構造や構造計算がとても重要になってきます。
安全性を十分に確認し、家族を守ってくれる安全な家づくりをしたいですね。