長期優良住宅、住宅性能表示という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。どちらも品質の良い家を建てるためにつくられた制度のことです。
長期優良住宅や住宅性能表示で認められるには、様々な条件をクリアしなくてはなりません。その中にはもちろん耐震性についての項目もあります。
今回は、長期優良住宅や住宅性能表示で求められる耐震性について詳しく紹介いたします。
長期優良住宅ってなに?
長期優良住宅に関する法律は、2009年6月4日に施行されました。頑丈で長持ちする家を建てることで、長期にわたって良好に使用できる家にすることを目的としています。子世帯が親の家を住み継ぐことができるような住宅のことです。
長期優良住宅は、私たちにもメリットがあります。住宅を建て替えるための費用が削減されることです。それに、作っては壊すような住宅を作っていると、解体や除去する時に建設廃棄物が出るので環境にも優しくありませんよね。
住宅性能表示ってなに?
住宅性能表示とは、2000年4月1日に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の骨格にある3本柱の一つのことです。品確法は住宅性能表示を含む下記の3本の柱で構成されています。
- 新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を10年間義務化する
- 住宅の性能表示をわかりやすく表示する住宅性能表示制度を制定する
- トラブルをすみやかに解決するために指定住宅紛争処理機関を整備する
住宅の構造や耐火、空気環境や省エネなどの性能を10分野34事項に定められており、計測するスケールを法律として義務化しているのです。そのため、家を建てる時や買うときに、建物の構造の違いやメーカーの規模に左右されることなく、法律化された共通のものさしで客観的に家を評価することができるようになったのです。
住宅性能表示制度を活用した住宅では、何らかの訴訟問題が思った時に、速やかに解決するための住宅紛争処理の体制が整っていることもメリットなのです。
長期優良住宅で求められる耐震性って?
長期優良住宅の認定条件には様々なものがあります。住戸面積や省エネルギー性、劣化対策などです。
その中に耐震性の項目もあります。長期優良住宅で求められる耐震性は、耐震等級2以上です。耐震等級は、建物が崩壊や倒壊しにくい耐震性を表しているものです。耐震等級は1~3段階まであり、数字が大きいほど安全性が高いことを示しています。
耐震等級2以上となるとチェックされる項目には「耐力壁の壁量」「耐力壁の配置バランス」「床倍率」「基礎の強度」「接合部の強度」などがあります。
「耐力壁の壁量」というのは、耐力壁の強度のことです。建物の壁は、耐震の面で非常に重要な役割を果たしています。
特に柱と柱の間に斜めに筋交いを入れることで、地震の水平方向の力に抵抗することができるのです。
地震が起ると垂直方向の力よりも水平方向の力が問題になってくるからです。筋交いの他にも構造用合板という面材を使用して強くした耐力壁もあります。
住宅性能表示で求められる耐震性って?
住宅性能表示の耐震性については、10分野あるうちの1つである「構造の安定に関すること」に挙げられています。
住宅の構造は地震だけではなく、台風などの暴風、積雪などの影響も受けることがあります。これらの影響が大きいと住宅に傷がつく、もちろん壊れることも考えられます。
そうならないために、柱や梁、壁、基礎などの構造躯体の強さを評価する必要があるのです。評価の方法は、等級で表示する、免震住宅であることを表示することとされています。
耐震性については、耐震等級によって定める力に対して「損傷防止」「倒壊等防止」の2つの目標が達成できる構造躯体であるかどうかを評価するようになっています。等級が高くなるほど、地震や風、雪に対して耐える力が大きいということです。
損傷防止
数十年に一回は起こる大きさの力に対して、損傷を受けることがあっても、人命が損なわれるような壊れ方をしないようにすることです。
倒壊等防止
数百年に一回は起こる大きさの力に対して、損傷を受けることがあっても、人命が損なわれるような壊れ方をしないことです。
地盤や基礎についても2つの性能表示事項がありますが、地震による液状化や地滑りなどの地盤災害の危険性に関する情報はありません。
地震にともなう火災を防ぐには
地震といえば火災がつきものです。地震で揺れている最中に、火の始末をしなくては!という考えが頭をよぎりますが、まずは火から逃れることが一番大切だと覚えておいてください。
火の始末を気にしすぎて慌てて止めようとすれば、ヤカンや鍋から熱湯がこぼれてヤケドをすることもあるから危険です。
最近のガスは、地震を感知すると自動的にガスが遮断されるようにセンサーがついている場合が多いので、自分が使っている器具が対応しているかどうかを確認しておきましょう。
地震の初期消火のチャンスは3回あるといわれています。最初は揺れを感じた時に可能であれば使用中の火を止める。
次に、揺れがおさまるのを待って火を消す。最後に、万が一、出火しても出火後1~2分であればそれほど火は燃え広がりません。消化器があれば充分に消せるからです。
ますは落ち着いて行動しましょう。初期消火ができるのは、炎が天井に届くまでです。消火が無理だと思ったら迷わず避難することが大切です。
まとめ
長期優良住宅、住宅性能表示で求められる耐震性は異なりますが、どちらも地震や災害に強い家づくりのためにある法律です。地震が起こったら慌てずに、火の始末は出来る限りするようにしましょう。
無理はせずに人命第一です。避難するときにはブレーカーを落として通電火災が起きないように備えましょう。