日本は地震多発国です。
各地で過去に何度も大きな地震が発生し、そのたびに尊い人命が失われ、甚大な被害がでています。
家を建てるとなると、「耐震構造」がとても気になりますよね。
耐震構造は柱や壁を強化して建物全体で揺れに対応した構造です。
その他にも、建物本体の揺れを小さく抑える「免震構造」や「制震構造」もあります。
そこで耐震構造について詳しくご紹介いたします。
目次
耐震構造はなぜ家づくりに必要?
耐震構造は、地震に耐えるように設計された構造のことです。
日本は地震大国なので、過去の地震の教訓を生かして建築基準を改正し、耐震技術も向上してきました。
1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災では、約8割の人が、住宅が倒壊したことによる窒息・圧死で亡くなっています。
耐震構造がしっかりとした家に住むことは、巨大きな地震が起きても家族を守ってくれ、地震の後でも少し補修するだけで、普段通り住み続けることができることにつながるのです。
耐震構造の規定は昔からあるの?
日本で最初の建築法規が施行されたのは、1920年(大正9年)のこと。
これ以降は、たくさんの震災を教訓として耐震構造技術が向上してきました。
1978年(昭和53年)の宮城県沖地震で甚大な被害が出たので、1981年(昭和56年)に建築基準法が大改正されました。
必要な壁量や計算基準の改定が行われたのです。
1981年の改正以降に適用されている耐震基準を「新耐震基準」といいます。
新耐震基準では、震度5の地震に対して構造躯体に損傷を生じず、震度6強~震度7程度の地震に対しては倒壊しないという規定になっています。
耐震構造の具体的な内容は?
耐震構造の種類は、以下の3つです。
- 耐震構造
- 免震構造
- 制震構造
耐震構造
建物全体で地震の揺れに対応することを「耐震構造」と言います。
耐震構造は、筋交いをX状にいれて補強したり、土台と柱の接合部を短冊金物や帯金物でつなぎ、ボルトでとめたりして柱や壁を強化します。
人命を守ることが最優先になっているので、家の一部が壊れたりすることはやむをえないと考えられた構造になっています。
免震構造
基礎と建物を切り離してその間に免震装置をいれることで、建物本体への揺れを軽減させることを「免震構造」と言います。
免震構造は、コンクリートの基礎と土台の間に硬質ゴムを入れて、地面が揺れてもゴムが揺れを吸収するので、建物上部へ揺れが伝わるのを和らげる方法です。
横揺れには強いですが、縦揺れには対応していないところが難点です。
制震構造
建物内部に制振装置を取り付けてエネルギーを吸収することを「制震構造」といいます。
制震構造は、建物の中に「ダンパー」と呼ばれるエネルギー吸収装置を組み込みます。
建物本体に伝わった揺れのエネルギーを吸収してくれるので、揺れが小さくなるのです。
高層ビルなどにも使われている構造です。
地震に強いのはどんな家?
地震に強い家には、次のような条件があります。
- 丘陵地などの硬くてしっかりとした地盤であること
- しっかりとした基礎で建っていること
- 壁が十分に配置されていること
- 長方形に近い形であること
この中で「壁が十分に配置されている」ということは、とても大切です。
阪神・淡路大震災で倒壊を免れた家というのは、バランス良く壁が配置されていた家なのです。
築年数の古い・新しいや、鉄筋・木造は関係ありません。壁が均等にバランス良く入っている家が生き残っていたのです。
そのため、角が柱1本で車庫になっている、コーナー窓になっていて壁が無い家は倒壊してしまいました。
家の形は長方形または正方形といったシンプルな形がベストです。
デコボコとした複雑な形の家よりも、シンプルな形状の家のほうが、耐震性が高いからです。
もちろん、建物の条件の他にも、木造建築の場合は太くて腐りにくい質のいい構造材を選ぶことが大切です。
筋交いや耐力壁もきちんと入っているかどうか確認してください。
家を設計する時に気を付けたいこと
家を建てるために設計をする際、耐震面で気を付けるべきことはあるのでしょうか?
- コーナーに窓を持ってこない
- 造りつけ家具は1階を中心に設置する
コーナーに窓を持ってこない
コーナーが窓だと明るく見通しが良い広々とした空間が広がります。
しかし、隅が窓になると、耐震構造として弱くなってしまいます。
コーナーを窓にした住宅は、阪神・淡路大震災規模の地震だと、みんな壊れていました。
窓を減らし、筋交いや耐力壁を増やすようにしましょう。
窓の周りや出窓の中にも柱を入れて強化したが良いです。
造りつけ家具は1階を中心に設置する
注文住宅では、造りつけ家具を自由に配置することができます。収納など便利になりますよね。
造りつけ家具は、できれば1階を中心に多く作った方が良いでしょう。
もし地震によって家が崩壊しても、造りつけ家具が支えになってくれる場合があるからです。
天井と床を張る前に、造りつけ家具を土間から梁下にからめると、なお良くなります。
まとめ
地震が起こると家の耐震構造で生死を分けることになります。
耐震構造がしっかりとした家ならば、家族の命を守ってくれ、その後も住み続けることができるからです。
家を建てる時だけではなく、完成した後のメンテナンスも充分に行ってください。
過去の地震では、メンテナンスが足りなかったために、構造が弱くなっていたことで家が倒壊するようなことがあったのです。
日常の手入が大切です。