家を建てるときには、「遮熱」や「断熱」という言葉をよく耳にするようになります。
昔の家はすきまだらけだったので、外の暑さや寒さは家の中まで直接伝わっていました。
それをさえぎるのが遮熱や断熱です。
この二つにはどのような違いがあるのでしょうか?
詳しくみていきましょう。
遮熱ってなに?
遮熱は断熱と似ているように思いますが、全く異なるものです。
住宅の遮熱には遮熱材が使われることがあります。
シート状や塗料になっているものがあります。
遮熱材は、熱をカットすることを目的としているので、熱の反射材と考えると分かりやすいですね。
遮熱材が断熱材の代わりにはなることはないのです。
断熱ってなに?
断熱は、熱を遮断するものです。
住宅では断熱材が壁や床、天井、屋根などの熱の出入りがしやすい部分に使われます。
断熱する方法は、内断熱と外張り断熱の2種類があります。
どちらを選んでも、計算上の断熱性能にあまり変わりはありません。
施工の良し悪しによって断熱の性能が変わることはありますので、注意してください。
断熱材は、夏は熱の侵入を阻止し、冬は熱の流出を防ぐ役割をしています。
忘れてはならないのが窓の断熱です。
窓は、住宅の中でも熱の出入りが激しい場所です。
窓の断熱をおろそかにすると、快適な室内空間は保たれませんのでご注意ください。
窓の断熱性能を上げる方法は、ガラスの性能を上げることです。
複層ガラスやLow-Eガラスなど、最近は高性能のガラスがあります。
通常の単層ガラスに比べると、倍以上の断熱性能が期待できるのです。
快適な室内空間ってどんなの?
そもそも快適な室内空間ってどういう状況のことをいうのでしょうか?
建築士の人に尋ねると、すぐに答えが返ってくるかもしれませんね。
快適な室内空間は、温熱環境を作っている6つの要素がバランスよく保たれている状態のことなのです。
人間の体温調節に影響を与えるものに、6つの要素があります。
この6つの要素がバランスよく保たれていると、人は快適だと感じるようになるのです。
快適な室内空間が保たれると、エアコンの要らない理想的な家が出来上がります。
温熱環境をつくる6つの要素
家を建てる時には、快適な室内空間を作るために、温熱環境に影響を与える6つの要素を覚えておきましょう。
温度
温度は気温のことです。
室内の温度が高くなれば暑いと感じ、温度が低くくなれば寒いと感じるようになります。
湿度
湿度は、空気中に含まれる水蒸気の量のことです。
湿度が多すぎれば不快に感じますし、適度に湿度が少なければカラっとしていて過ごしやすくなります。
気流
気流は、空気の動きのことです。
微風から暴風までの風の動き方で、快適さが違ってきます。
放射
放射とは電磁波によって伝わる熱のことです。
放射は、床や壁、天井、家具などあらゆるところで影響しています。
室温が適温でも、放射温度が高くなれば暑く感じてしまいます。
活動量
人間が体を動かす量のことです。
寒い冬でも激しく体を動かせば暑くなります。
着衣量
人間が着ている衣服の量のことです。
着ている衣服の種類や枚数で感じ方が異なります。
衣服を脱ぐと、皮膚の表面から熱が逃げるので、涼しく感じるようになります。
この6つの要素が温熱環境を作り、室内空間の快適さを形成します。
例えば、気温が10度以上ならば、湿度が高くなるほど暑く感じるようになります。
逆に、気温が10度以下ならば、湿度が高くなるほど寒く感じるようになるのです。
地球温暖化防止のために、エアコンの設定温度は28度などと言われていますが、温度だけでは室内が快適かどうかは分からないのものです。
そもそも熱ってなに?
そもそも熱って何だろうと思いませんか?熱の温度というのは、分子の動きが活発になることで上がります。
そして、熱は高い方から、低い方へ移動するという性質があります。
そして、熱は下から上にいく性質もあります。
温度が上がったら膨張するので、密度が下がります。
空気の密度が下がれば軽くなるので、自然と上へと上昇していきます。
この熱の性質をうまくコントロールすることができれば、快適な室内空間を作ることができますよね。
家の中で影響を受ける熱というのは、太陽からだけではありません。
洗濯乾燥機、食器洗浄乾燥機、炊飯器といった電化製品からも熱が発生しているのです。
それに、人体も忘れてはなりませんよね。
私たちの一人一人が発する熱量は約100Wといわれています。
10人集まると電気ストーブ1台分もの熱を発することにもなるので、すごいですよね。
熱は地球上でとても大切なエネルギー源です。
しかし、住まいに関しては必ずしも常時必要なわけではないのです。
そこで遮熱や断熱を使って、室内空間を快適に作り上げていくのです。
まとめ
遮熱は熱を跳ね返すもの、断熱は熱を遮るものです。
遮熱も断熱もなんとなく似ているように感じますが、全く違う役割をするものです。
人間が快適だと感じるには、温度だけではなく、湿度や気流など6つの要素が関わっています。
熱の性質をよく知ることで、快適な住まいを作るヒントが得られるでしょう。