「バリアフリー住宅」と聞くと、何を思い浮かべますか?
段差がない、手すりをつけるなど、高齢者や障害者のためのものを思い浮かべる人が多いようですが、実は子育て世代やどの世代にも優しい作りになっています。
家の中で起こる転倒などの事故は、どの年代でも意外と多いのです。
そもそもバリアフリーとは、「障害や障壁のない」という意味です。
住宅は、障害や障壁を取り除くことで、誰もが安全で安心して暮らせる家になります。
そこで、バリアフリーの家づくりについて紹介いたします。
目次
バリアフリー住宅はどうやって作ったらいいの?
「バリアフリー住宅」というと、漠然としていて何から手をつけたらいいのか分からなくなると思います。
そのため、一つ一つ順番に考えていきましょう。
段差
バリアフリー住宅にするために、最初に考えるのが段差を無くすことです。
年齢を重ねると立つ座るといった動作で膝や腰が痛む、わずかな段差でつまづくようになってきます。
小さな子どもも、ちょっとした段差で転んでケガをしやすいですよね。
そこで、徹底的に段差を無くす、あるいは段差があってもはっきりと段差だと認識できる高さにすることが大切になってきます。
中途半端な高さの段差はケガの元。
将来的には車いすの使用も視野に入れて検討していきましょう。
バリアフリー化①扉
まず、家の扉を引き戸にして、上吊式にすればガイドレールが鴨井に組み込まれるので、床に敷居が要らなくなります。
敷居の段差はつまずきやすいですよね。引き戸は、車いすを利するときにも便利です。
開けた後にゆっくりと自動的に閉まるタイプならば、小さい子が手を挟む心配もありません。
バリアフリー化②床(畳・カーペット)
畳の部屋を希望ならば、畳と敷居をフラットに設置できる方法もあります。
カーペットを敷くならば、部屋全面に敷き詰める方が安全です。
中途半端な大きさのカーペットは、端がめくれて足を引っ掛けて転倒する恐れがあるからです。
バリアフリー化③階段・手すり
階段は、け上げと踏み面の合計が45㎝にすると、上り下りがしやすい階段になります。
手すりを使って利用するようにしましょう。手すりを設置するならば、先端は曲げるようにします。
手すりの先端に洋服を引っ掛ける、子どもが頭をぶつけるなどのトラブルが起こるからです。
バリアフリー化④玄関
玄関の上がり框は、横の壁に縦手すりをつければ、手すりを支えにして腰を下ろして靴の脱ぎ履きができます。
造りつけのベンチがあればより楽になりますね。
抱っこした子どもをおろすときも便利になります。
バリアフリー化⑤廊下
廊下の幅は、手すりをつける、車いすで移動することを考えると、100~120㎝とっておくとスムーズに動けるようになります。
滑りにくい床材を使いましょう。
将来的に手すりが必要になりそうな箇所の壁には、下地を入れて補強しておくようにしましょう。
バリアフリー化⑥キッチン・洗面所
キッチンや洗面所のシンクの下に椅子を置くスペースを作っておけば、立ちっぱなしの作業がつらくなった時には、すぐに椅子を取り出して座って作業することができるようになります。
子どもの踏み台を置くこともできますね。
水回り
水回り①トイレの位置
水回りでトイレの位置は大切です。
年を取ってくると夜中にトイレに起きることが多くなります。
スペースに余裕があれば、メイントイレの他に、寝室の隣にもトイレを設けておけば便利になります。
廊下の足元に照明があれば明るくて見えやすくなります。
水回り②トイレの手すり
トイレの動作を補助するL字の手すりは必ずつけましょう。
将来的に車椅子や介護が必要になることを考えると入口は広めの引き戸にして、中のスペースも充分にとっておくようにします。
水回り③トイレ・浴室・洗面脱衣室の暖房設備
トイレや浴室、洗面脱衣室で気をつけておきたいのが、冬場の暖房設備です。
寒い季節は居室との温度差が激しいとヒートショックを起こして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性があります。
トイレや脱衣室には暖房を完備し、浴室にも穏やかに暖まる床暖房をつけておけば、足の裏が冷えることがありません。
もちろん浴室の床には滑りにくい床材を選んでください。
子どもにとっても安全になります。
水回り④バスタブ
バスタブに出入りする動作がしやすいように、バスタブの縁に一旦腰をおろしてから入るデザインのものも人気です。
手すりも必ず設置しておきましょう。
水回り⑤浴室の扉
浴室の扉は、3枚引き戸で開口幅を広くとっておけば、万が一浴室で倒れた時にも救助しやすくなります。
鍵はつけないようにしましょう。
小さい子にとっても、誤って閉じ込めてしまったといった事故を防ぐことができます。
浴室の出入り口の段差もなるべく無くして、フラットにしておきましょう。
その他
年を重ねると思い出のこもった品が増えていきます。
身近に飾っておいておける棚や、出し入れがしやすい収納があれば便利です。
友人や知人、近所の人とのコミュニケーションも若さを保つ秘訣です。
気軽におしゃべりができるように、土間や縁側など玄関以外に外に開かれた場所があることも大切です。
子どもも庭に出てすぐに遊べるようになりますしね。
まとめ
バリアフリーは、高齢者や障害者だけではなく、小さい子どもやどの世代にとっても優しい住宅になります。
段差を極力なくし、水回りは工夫し、いくつになっても快適に過ごせる家を作っていきましょう。